2025年、世界経済はトランプ大統領の下アメリカが発動した関税によって動揺状態にあります。

その影響は為替市場、私たちにもおよび
日々激しく変動するチャートは
投資家の不安をあおるようです。
しかしループイフダンを運用するにあたって、私たちまで動揺するわけにはいきません。
慌てずに、落ち着いて状況に対処するために必要なことを確認していきましょう。
- アメリカが発動した関税によって世界経済は動揺中
- 当事者であるアメリカ、対抗措置を取る中国が中心。その影響は日本にも
- 資源国や途上国も大きな影響を受けている。その中にはオーストラリアとニュージーランドが
- 豪ドル/NZドル運用にも影響は及んでいる
- 過去のショック相場とは似ている所よりも違うところの方が多そう
- 市場の動揺や含み損の拡大は定期的に起こる事。長期間運用出来る設定を組めていれば慌てなくてよい
- 何よりも感情に振り回されない事が大事。良い機会と思って運用計画の見直しをしてみよう
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トランプ関税とは

2025年、就任した直後からトランプ大統領は数々の大統領令に署名。
その中には世界経済を大きく揺るがす「関税」の大幅増や「相互関税」に関わるものが多数含まれています。
それらを総称してトランプ関税と呼ばれています。
関税
外国から輸入される物に対してかけられる税金
自国の産業と産品を保護する目的
外国から自国製より安価な品が輸入されると、自国製商品が購入されなくなる恐れがあるため
国産品と同等の価格になるよう調整するもの
相互関税
相手国が”高い”関税を課している場合に、自国も”同水準”まで追加される税
非関税障壁(関税以外に貿易等が制限されるモノ)にも、”同程度”の税を課す可能性も
アメリカの貿易赤字解消が最大の目的
追加された額は最低でも10%。鉄鋼やアルミニウムなどの金属、日本車を含む全ての自動車、特定の国家には一律25%。
他にも半導体やスマホなど様々な物品に広範囲かつ多大な税が課されました。
また報復行為には相互関税でもって報復を行うとの表明もなされ、実際に報復合戦となった中国とは互いに100%を超える関税を課す事態となりました。
関税によって起きること
今後アメリカへの譲歩、あるいは対抗姿勢を各国が取る中で国家間の貿易ルールが形骸化、ルールよりも相手国との力関係が優先される状況に陥る可能性が危惧されています。
関税はこれからどのような影響を及ぼすのでしょうか。
非常に広範囲にわたる巨大な関税は貿易の縮小やサプライチェーンの混乱を招き、世界経済の成長が鈍化しています。
世界経済の鈍化は株式市場からの資金流出や、より安全とされる通貨への移行などの形で現れました。
こうしたリスクオフの局面では高金利通貨や新興国通貨は売られやすく、主に低金利の先進国通貨が買われています。
アメリカ国内には高品質な部品を国外から輸入し、組み立てた製品を自国内に売り出す体制の企業が多く存在します。
輸入品に対する関税は輸入価格を上昇させ、アメリカ国内でいっそうの物価上昇(インフレ)を引き起こす可能性があります。
インフレの高まりは、長期金利の上昇などの形で金融政策に影響を与え、米ドルの価値を動揺させる要因となります。
一時的にドル高を招く可能性もありますが、輸入資材の価格高騰や長期金利の上昇は企業にとってデメリットも多く、景気後退懸念が高まっています。

トランプ大統領はアメリカ企業に至急
自国内で自給し、輸出を増やす強力な商品を産む
体制になって欲しいのだろうと分析されています。
その性急さと合わせるとかなり困難な道のりです。
自国都合での関税の発動には相手国からの反発、報復関税を招く可能性があります。
報復関税は貿易摩擦の激化や関係する国々の経済に悪影響を及ぼし、それぞれの通貨の価値を変動させる要因の一つです。
実際に4月11日に中国が報復関税としてアメリカ製品への関税を41%追加すると表明。
報復関税に踏み切らなかった他国とは対話姿勢を見せた米国が、中国に対してはさらに報復として関税を上乗せ。
中国は今後アメリカは相手にしないと発言する事態に発展。
特に、報復関税の対象となった産業や通貨は下落圧力を受ける可能性があります。
政府高官ですら数分前に知らされた突然の90日間の猶予期間など、トランプ大統領の政策は予測が難しい面があります。
関税発動や貿易政策の突然の変更は市場の不確実性を高め、為替レートのボラティリティ(変動幅)を増大させています。
現在多数の通貨ペアで値が安定せず、MACDなどのテクニカルでも図り切れない変動が連日起こっています。
こうしたボラティリティが高い状況では投資判断も難しくなります。
関税が課せられた国を含む通貨のペアは、経済や貿易関係に起こった変化により大きく変動します。
アメリカと中国が互いに輸入品へ高い関税を課したため、ドルや人民元、両国の経済に影響を受ける豪ドル/NZドルなどの通貨ペアも影響を受け乱高下しています。
また関税による貿易摩擦の激化が投資家のリスク回避姿勢を強め、ユーロなどへの資金流入を招いています。
ループイフダン、豪ドル/NZドルへの影響

トランプ関税は世界的な貿易摩擦を引き起こし、世界経済は鈍化しました。
資源国であるオーストラリアとニュージーランドの経済と豪ドル/NZドルは今後も影響を受けていくでしょう。
現在の経済成長の鈍化が両国の通貨に対する投資家のリスク回避姿勢を高めており、これが豪ドル/NZドルの下落圧力につながっている可能性があります。
特につながりの深い中国経済の減速は両国経済に大きな影響を与えるため注意が必要です。
世界的に不確実性が高まると、一般的にリスクオン通貨とされる豪ドルは売られやすく、NZドルが買われる傾向があります。
トランプ関税が市場の不安を高めているため、今後も豪ドル/NZドルは下落していく可能性があります。
オーストラリアとニュージーランドは、貿易相手国1位である中国と強い経済的な結びつきがあります。
特にオーストラリアは資源を中国に多く輸出しているため、中国経済の減速はマイナス要因となり豪ドル/NZドルの変動要因となっている可能性があります。
トランプ関税と中国の報復措置が中国経済に悪影響を与え、その影響は両国の輸出入や経済成長にも及んでいます。
トランプ関税がアメリカのインフレを引き起こし利上げを加速させる場合、今後米ドル高が進む可能性もあります。
米ドル高は豪ドルやNZドルといった他の主要通貨に対して下落圧力をかける可能性があり、これも豪ドル/NZドルの変動要因となり得ます。
トランプ関税は豪中銀(RBA)とNZ中銀(RBNZ)の金融政策にも影響を与えていく可能性があります。
経済成長の鈍化懸念から両国が利下げを示唆した場合、その方向性(利下げの度合い等)の違いが、豪ドル/NZドルのレートやスワップを変動させる可能性もあります。
関税の影響下で、どう対応するべきか

関税によって国家間の緊張が高まり、世界経済が混乱する中で私たちは何をするべきでしょうか。
世界経済と貿易情勢の変化が豪ドル/NZドルに与える影響を分析してみましょう。
トランプ大統領の関税政策だけでなく、米中関係、世界貿易機関(WTO)の動向、各国の経済指標など、証券会社各社の提供するニュースを確認するだけでも様々な情報が手に入ります。
資金に対しポジションサイズを適切に管理し損切りラインを明確に設定できていれば、予期せぬ大きな損失を防げます。
運用の基本ですが、良い機会なのでボラティリティが高まる可能性も考慮に入れて再確認しましょう。
豪ドル/NZドル運用だけでなく、貯金や株、貴金属など別の資産への分散を行うことでもリスクは軽減できます。
口座資金や目安資金表の見返しなど、この機会に行いましょう。
以前のショック相場との比較
トランプ関税は、様々な国や地域との貿易摩擦を引き起こし、今後も世界経済の成長を鈍化させていく可能性があります。
経済成長の鈍化という点で似て見えますが、リーマンショックのような金融システム全体の危機や、コロナショックのような世界的な経済活動の停止とは性質が少し異なっているようです。

リーマンショック(2008)
世界的な金融不安から、安全資産(円など)が急騰
米国の金融緩和政策によりドル安が進む
資源国通貨が世界経済の減速懸念から大きく下落
新興国通貨もリスクオフの流れから売られる

コロナショック(2020)
感染拡大による先行き不安から安全資産が買われる
初期にはドルも基軸通貨としての役割から買われる
各国の大規模な金融緩和や財政出動
リスクオンの動きで資源国・新興国通貨が持ち直す
原油価格の急落が産油国の通貨に下落圧力をかける
関税が米国のインフレを引き起こしFRBの金融政策に影響を与えた場合など、ドル高になる可能性も考えられます。とはいえ今後ドルの信任が低下しドル安になっていく可能性も高いです。
ただ、リーマンショック後のような大規模な金融緩和がない限り、一方的なドル安にはなりにくいと考えられています。
世界経済の減速は、豪ドルやNZドルなどの資源国通貨や、貿易に依存する新興国通貨にとってマイナス要因となる可能性があります。リーマンショック時との類似点です。
トランプ関税の発表後、株式市場には大きな変動が見られますが、為替市場全体では過去のショック時に比べれば急激かつ全面的な変動は見られていません。
市場が関税の影響をまだ見極めようとしていることや、過去の経験から過度な反応を避けている可能性が考えられます。
関税による貿易摩擦の激化がリスク回避の動きを強め、今後も安全資産として円などが買われる可能性があります。この点もリーマンショックやコロナショック初期と同様の動きです。
慌てるべきではない、慌てなくてよい理由

世界経済、ループイフダン運用にも大きな影響を及ぼす関税。しかし私たちは感情に振り回されてはいけません。
実はそんなに慌てなくて良い理由もあるのです。
90日の猶予を突然設定する、特定の品を後になって除外する、あるいは追加する。
トランプ関税が最終的にどのような範囲と深さで発動され、世界経済や為替市場にどの程度の影響を与えるかはまだ不透明です。
過去のショックと比較して、現時点では危機の全体像が見えていません。
為替市場は、新しい情報や状況に徐々に適応していく傾向があります。
過去の貿易摩擦局面でも一時的な変動はあったものの、市場が落ち着きを取り戻す場面も見られました。

過去の運用実績で見ても、一定の範囲で値は戻ってきています。
慌てて計画に無い損切りやポジションの追加をすることは、予期せぬ損失につながります。
市場の短期的な変動に惑わされず、冷静に状況を分析し、運用計画を守ることは運用の鉄則です。
感情的な取引ではなく、データに基づいた判断が重要です。
今後、関税に関するニュースや経済指標を注意深く監視し、その影響を慎重に分析することが求められます。
口座資金に見合った運用計画を立てリスク管理を徹底することで、通貨ペアの急激な変動は乗り切ることができます。
これは、どのような市場環境においても重要な基本です。
まとめ:揺れる世界経済、ショック相場に対応出来るループイフダン運用を
トランプ関税は今後も為替市場に大きな影響を与える可能性が高いです。
しかしリーマンショックやコロナショックのような金融システムそのものを揺るがす、あるいは世界経済活動を停止させるような危機とは性質が異なっています。
現時点では、過度に悲観的になったり、慌てて行動したりするのではなく、冷静に情報を収集・分析し、慎重な投資判断を心がけるべきでしょう。