ループイフダンを運用する際、リスクリターンのバランスや利益率の高さから注目される事が多い両建て。
しかし両建ては通常の運用と比べ注意すべき点も増え、上級者向けの運用法と言えます。
この記事では実際に運用した経験と合わせ、両建て取引におけるメリットとリスクについて解説します。
両建て取引を行う時は、リスクを理解しリスクに備えた計画を立てて進めましょう。
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両建てとは
両建てとは一つの通貨ペアを買いタイプ(B)売りタイプ(S)両方で取引する事です。
相場が上昇する場合には買いポジション、下降する場合には売りポジションが利確するので、上下両方の動きに対応することができます。
しかしリスクもあり、一概に初心者向きとは言えない取引方法です。
余裕を持った資金で慎重に運用計画を組む必要があります。
ループイフダンの両建ての始め方
同一の通貨ペアのBタイプ(買い)とSタイプ(売り)両方で注文を出すと両建てが成立します。
通常のループイフダン(一例)
豪ドル/NZドルB(買い)を注文
ループイフダンの両建て(一例)
豪ドル/NZドルB(買い)とS(売り)を注文
ループイフダンBS(両建て)機能を使うと手順が省けますが、必ず「損切りあり」設定になるため注意が必要です。
両建てを行う時は、損切りや停止のラインは予め決めておくことが重要です。そのためにも、相場の動向を正確に予測することが必要です。
両建てのメリット4つ
- 相場が上昇している時はB(買い)が利確
- 相場が下降している時はS(売り)が利確
上下の値動きどちらでも利益を上げられ資金効率が高くなり、相場が動かず停滞する時以外は、上昇しても下降しても利益を上げられます。
同時に買いと売りのポジションを持つことで、上げる利益に対するリスクを最小化することを狙う取引方法です。
ループイフダンではBタイプ(買い)とSタイプ(売り)、ロット数の多い方だけの必要証拠金で済む事もメリットです。
通常のループイフダン(一例)
B(買い)を10ロット注文
→10ロット分の必要証拠金
ループイフダンの両建て(一例)
B(買い)5ロットとS(売り)5ロットを注文
→5ロット分の必要証拠金
証拠金圧縮!
同じロット数の通常ループイフダンと比べ少ない証拠金で始められます。
長期間ポジションを保持することが多いループイフダンで、マイナススワップは時に重く伸し掛かってきます。
相場が停滞している時など特に…。
スワップポイントの性質上ある程度ですが、両建てを行うとマイナススワップの相殺が可能です。
ただし、同数保持しても±0には届きませんし、プラスのスワップが付くタイプは大抵レンジアウトしやすい方であることなど注意が必要です。
通貨ペア一つを両建てで運用するなどシンプルな設定で済むので設定がしやすいのもメリット。
反面両建てならではのリスクもあり、運用をやめる時など少し手間がかかります。
両建てのリスク4つ
- 相場が上昇している時はS(売り)の含み損が拡大
- 相場が下降している時はB(買い)の含み損が拡大
- 相場が停滞している時はBS両方に含み損が残存
両建ては為替相場の上下動どちらでも利益が出る代わりに、同時に含み損も増加します。
そのため常に一定の含み損を抱え続けなければなりません。
通常のループイフダンでもそうですが、相場が想定レンジの外へ突き進んだ場合には、損失が大きく膨らむこともあります。
例えばB(買い)だけで運用している場合、大きな損失が出るのは値が想定レンジを外れるほど大きく下降した時ですが、
両建ての場合上昇下降どちらでも損失が出る可能性が生じます。
単純に考えると、B(買い)S(売り)
どちらか片方の通常のループイフダンと比べて
倍という事になってしまいます。
両建て取引は通常の取引よりも複雑であり、特に止め時は初心者には難しい場合があります。
運用を完全に停止する場合、値が下降し売りポジションが無くなったタイミングでSを手動決済あるいは停止、
その後、場合によっては数か月以上経った後で値が上がった際にBを同様の手順で処理する、などの手間が必要になります。
運用停止を行い、残ったポジションが自動で決済するに任せる事は可能です。
ただし含み損がなかなか片付かなかったり、レンジから外れた値動きをし続け、
けっきょく損切が必要になり、結果損になったりする可能性もあります。
メリットの面にも書きましたが、両建てを行うとプラスとマイナスのスワップポイントが相殺しあいます。
2021年 38,633(-274)運用期間6か月
2022年 215,619(+4,771)運用期間12か月
2023年 29,924(-1,390)運用期間3か月
計284,176(+3,107)
のんき亀の場合20か月以上運用してみてスワップはなんとか一応プラス、ただあくまでも当時の金利あってのこと。
両建てにする場合もマイナススワップからは逃れられないと考えた方が良いでしょう。
ループイフダンの両建ては高いリターンを狙える方法ですが、こういったリスクもあるため、慎重に考える必要があります。
難しそうだと感じたなら、まずはリスクの低い通常のループイフダンから始めることをおすすめします。
両建て向きの通貨ペアは
一定かつ比較的狭い範囲で値動きしている通貨ペア。
8年近く1.00~1.15の範囲で推移する豪ドル/NZドル一択です。
それも余裕を持った資金で長期間運用する事が必要になります。目安資金表を活用しましょう。
効率が良く見えるため短期間に多大な利益を上げるためのものに見えますが、そちらに走ると含み損がのし掛かります。
余裕を持って運用すべきです。効率を求めるならいっそ他サービスでハーフ&ハーフを行うべきという投資家の意見もあります。
両建て運用を成功させるために必要なポイント
まず、運用する通貨ペアは豪ドル/NZドルとします。
アイネット証券さんの目安資金表と同じページに記載されているレート変動幅確認表によると、豪ドル/NZドルの過去5年間の最高値は1.14938、最安値は0.99835。
これが10年間になると最高値が高値:1.24770になる一方最安値は0.99835のままです。
レンジの下限は10年変わらない1.00として良いでしょう。豪ドル/NZドルが買い優位と言われる所以ですね。
レンジの上限は8年以上破られていない1.15。慎重派はそれ以下の値に適宜調整してください。
レンジの上下の端に到達してもロスカットにならないよう余裕を持った額の資金を入金しておきましょう。
通常のループイフダンと比べてレンジを外れる可能性が高いため、最大ポジションを多くし過ぎた場合のリスクが高い両建て。
最大ポジションが少なすぎても対応できるレンジが狭くなりすぎてしまいます。定めた運用レンジに合う最大ポジションで運用しましょう。
応用としてレンジの上下の端(上端の場合1.15)に
到達する手前(1.10~1.12くらい)でB(買い)を停止し、
値が戻ったら再稼働するなど、
いわゆる”クソポジ”
(利確する可能性が低く利確するまで長期間含み損として存在し続けるポジション)を
掴まない様にする運用法もあります。
両建てで失敗しないための注意点まとめ
- 資金は通常よりも多めに用意
- 通貨ペアは豪ドル/NZドル
- マイナススワップを受け入れる覚悟を持つ
- 両建ての成立するレンジを頭に入れておく→【応用】両端に達する手前で手動調整もあり
- 目安資金表を良く読んで運用設定をする
>難しいと思ったら手を出さない!
まとめ:リスクと付き合いながら続ける両建て
設定と運用の仕方そのものはシンプルで分かりやすいですが、止め時の難しさや増加する損切の可能性など、数字以上のリスクが潜んでいる事は自覚したうえで運用を検討しましょう。
ループイフダンでは現在ほぼ豪ドル/NZドルのためにあるような運用法と言えます。
もしも運用を開始するならば十分な資金と運用期間を設け、万一の損切もきちんと計画に盛り込んでおきましょう。