ループイフダンは優れた仕組みですが、FXの特性上リスクは完全には避けられません。
どういう時に損失が発生するのか?実際に損失が発生したらどんな事が起きるのか?どうして損失を避けられなかったのか?
この記事では、実際に私が陥った事態の経緯とその時の感情に触れ、その回避法を明らかにしていきます。
同じ失敗をなさらないよう、参考にしてください。
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もしもループイフダンで大損したら……?
ループイフダンでの大損は、資金の準備や運用設定の段階で何か間違えているか
事前に決めたそれらの運用法を自ら破っているかのどちらかによって生じます。
損は心身の大きなストレス源となり、
嫌な気持ちになったり、眠れなくなったり、
自分に疑念を抱いてしまったり、物事に集中出来なくなったりします。
もしも、何かおかしい、まずいと思ったら運用設定を見直しましょう。
それと今の状況がかけ離れていたら、あるいは設定そのものが甘かったなら、なるべく早く損切を行うことです。
退場に至らなければ小さな損です。むしろ気づけてえらいんです。切り替えましょう。
のんきかめの場合
2021年11月に運用停止したスイスフラン/円のポジションを放置し、2022年7月11日、円安に絡む上昇トレンドに耐えられず損切。
ロスカットには至りませんが-495,710円、総資金の20%以上の損失を被りました。
またこの間、スイスフラン/円のために100万円ほどの資金が拘束されていたのも見逃せません。
不要なポジションをずるずると持ち続け、上昇トレンドに怯えて損切し多額の損害を被った形です。
含み損の拡大に伴うストレスや精神的なショックは小さくなく、一月以上運用設定に触れる事をやめ、心の休養と資料のインプットなどにあたりました。
損切に至るまでの状況と心境
2020年6月、私のんきかめはループイフダンの運用を開始。
豪ドル/円、加ドル/円と同時にスイスフラン/円の運用を開始しました。
長期間レンジを形成する通貨ペアを主とした組み合わせで、これらは投資ブログなどで今も人気の高い通貨ペアです。
私も初めて運用に踏み切った時は投資ブログを参考にしました。
ブロガーさんの記事を幾つも読み比べて本も一生懸命読んだ!
数か月頑張ったデモトレードで利益を上げられた!
今日から本物の口座でやってみよう!
- AUD/JPY(豪ドル/円)B80 数量2 最大ポジション26 必要資金の目安:74万円
- CAD/JPY(加ドル/円)B80 数量2 最大ポジション26 必要資金の目安:76万円
- CHF/JPY(スイスフラン/円)S80 数量2 最大ポジション26 必要資金の目安:82万円
- 合計必要資金の目安=約232万円
- 達成年利約7%
開始から幾度か追加などを行った当時の設定です。達成年利の数値からも分かりますが、順調に利益を上げていました。
好調だった運用、少しずつ自信をつけて
2021年6月、順調に利益をあげ少しずつ自信をつけて、新たに長期間レンジを形成する通貨ペアとして豪ドル/NZドルの運用を開始します。
豪ドル/NZドルはその安定感に人気が高まり、私もメインに据える事となります。ブログを開設したのもこの頃です。
- AUD/JPY(豪ドル/円)B80 数量1 最大ポジション13 必要資金の目安:12万円
予想される変動幅:約1年ぶんに相当 - CAD/JPY(加ドル/円)B80 数量1 最大ポジション13 必要資金の目安:12万円
予想される変動幅:約1年ぶんに相当 - CHF/JPY(スイスフラン/円)S80 数量1 最大ポジション20 必要資金の目安:25万円
予想される変動幅:約3年ぶんに相当 - AUD/NZD(豪ドル/NZドル)B80 数量2 最大ポジション13 必要資金の目安:21万円
予想される変動幅:約3年ぶんに相当 - AUD/NZD(豪ドル/NZドル)S80 数量2 最大ポジション13 必要資金の目安:─(21万円)
予想される変動幅:約3年ぶんに相当 - 合計必要資金の目安=約70(91)万円
実際の運用を通じて知識と経験がアップ!自信もついてきて楽しい!
利益は1年間で+155,675円!
このまま運用を続けられれば間違いない!
上手い人の真似から入った運用法は、分析と理解が順調に進んでいると考えていましたが、この時の私は自分の考え方の問題点に気づいていませんでした。
変更した設定、妥当だと思った判断
2021年11月、人の真似から始まった3通貨ペアの運用から切り替えを行いたいとの考えに至ります。
レンジの安定と効率の良さから運用のメインを豪ドル/NZドルに切り替えを行いました。
単一通貨ペアの両建てという、シンプルながらやや難しい運用法の研究に意識が向いていきます。
- AUD/NZD(豪ドル/NZドル)B80 数量7 最大ポジション13 必要資金の目安:70万円
予想される変動幅:約3年ぶんに相当 - AUD/NZD(豪ドル/NZドル)S80 数量7 最大ポジション13 必要資金の目安:─(70万円)
予想される変動幅:約3年ぶんに相当 - 合計必要資金の目安=70(140)万円
豪ドル/円、加ドル/円、スイスフラン/円は運用を停止。
停止した通貨ペアのポジションはそのまま保持しており、設定された決済値に達した所で利確となるつもりでした。
これからは豪ドル/NZドルの運用法を自力で確かめていくんだ!
停止した3通貨ペアはどれも順調に運用出来ていたし、
暫く保持してればその内決済するはず!
ちなみに、この時点で残ったスイスフラン/円22ロット全てを決済し損切を行っていた場合は-145,408円でした。
それまでの決済利益は206,887円なので、差し引きプラスだったのです。
想定レンジをちょっと外れただけだし、損切は必要なし!
今慌てて損切したら将来の利確が無くなっちゃうし、利益が減っちゃうもんね!
今だからこそこのように言語化できますが、当時の私にこの様な考えを持っている自覚はありませんでした。
この時点ではスイスフラン/円の高騰は念頭に置いておらず。
設定上なにも変更をせず対応できる範囲は125円前後まででした。
しかし用意していた資金から145円まで行ってもロスカットにならないから、と放置を21年12月(126円)以降も継続しました。
長期上昇トレンド、でも当分ロスカットにはならないから……
豪ドル/円と加ドル/円は2021年10月までに全て決済し最後の利益を出しました。
一方スイスフラン/円は上昇を始めており、長期の上昇トレンドと見なせる状態でした。
当然この間含み損も拡大し続けています。しかし直に上昇が鈍るか下降に転じるとさほど根拠のない楽観視により放置を継続。
損切するなら総資金に対し1ロット-2%か-3%
資金はまだまだ追加できる
最悪145円まで値上がりした後でも判断すれば良い
今損切しては損
市場は1方向に動き続ける訳じゃない
下がると分析してる投資家もいる
プランは複数ある
……と逃避していたのです。逃避している意識さえ希薄な状態です。
迫る円安、本当に損は避けられないのか?
21/12までは二月毎、2/1から一月毎です
2022年3月、転機が訪れます。少しずつ勢いを増していたスイスフラン/円は急激に上昇を始めました。
ドル円の上昇に伴うものであり、スイスと日本の金融政策の違いが浮き彫りになった結果でもあります。
それでも、この時点で損切出来ていた場合は-334,498円の損失で済みました。これまでの利益が帳消しになる額ですが。
上昇し続ける市場を必死に分析しましたが
まだ上昇を続ける
あるいは年単位で高止まりする可能性がある
日本円の為替市場での弱体化
スイスフラン/円が下降に転じる材料が当分無い
僅かながら暴騰の可能性
スイスフラン/円を抱え続けていては万一の場合耐えられない
メインの豪ドル/NZドル運用の足を引っ張り続けている
……けど、反転する可能性を論じている専門家も一応いる
この時点でも決断に踏み切れず、ずるずると検証作業を長引かせてしまいます。その間、スイスフラン/円の上昇は止まることなく続きました。
決断の痛みと安堵
2022年7月11日、損切を行いました。
未知の領域である150円の手前、運用開始からずらしにずらしてしまった最後のラインである140円に複数回タッチしてようやくの事でした。
額は-495,710円。2年間の運用利益を183,807円上回りました。
けっきょく総資金の21%の損失……。
自己嫌悪感でろくに眠れない……。
……けど、もうこの含み損に悩まされなくて済むんですね。
この記事の執筆当時は、猛暑による体調不良、身内の不幸などがあり判断力や精神力というリソースが大幅に削られている状況でした。
この時点でも市場に楽観できる材料は相変わらずないため、遅れはしましたが損切したこと自体は間違いではなかったと自己評価しています。
仮に今後すぐにスイスフラン/円の値が下がるとしても。
下がりませんでしたね。
遅れはしたものの本当に命拾いしました。
大損した原因は?
終わってから見ると、不要なポジションをずるずると持ち続け、上昇トレンドに怯えて損切し多額の損害を被るいっそ典型的と言える行動です。
のんきかめの運用法では週単位、月単位での値動きを念頭に長期間ポジションを持ち続ける事になります。
もっとも重要なのがチャートの中でも月足、月の値動きなのです。
スイスフラン/円が緩やかながら上昇トレンドであることを軽視したのは、自分の運用法の根幹を無視したということ。
最も反省すべき事です。
3通貨でバランスをとる運用法でしたが、B(ロング・買い)の2通貨は良くとも
S(ショート・売り)かつ上昇トレンドのスイスフラン/円は豪ドル/NZドル両建てをメインにすると決めた時点でさっさと決済してしまうべきでした。
遅くとも想定レンジを外れた時点で損切していれば10数万円で済んだことです。
比較して40万円ほど余計に損をしたことになります。
景気対策や金利政策の違いから大きな市場の動きが起こり、結果強い円安となりドル円クロス円は軒並み上昇していました。
しかしこの動きにも無頓着すぎ、情報としては目にしていたものの全く活用できておらず、ここでも損切の機会を逃しています。
比較して15万円ほど余計に損をした事になります。
上昇トレンドを軽視したこと。
円安を無視したこと。
損切するべきと分かっていても後回しにしてしまった事。
損切ラインを複数、後になってからも追加で用意したこと。
これらの行動のもととなったのは十分に学びコントロール出来ていると思い込んでいた、自身の感情でした。
損切するタイミングで「判断」が必要になる時点で既に失敗している
後で判断すれば良いという考えは自分の感情によって粉砕されました。
これだけはするまいと思っていた行動を自らとってしまったのです。
運用中のストレスは自身で考える以上にあり、正常な判断を行うのは非常に困難です。
損を厭った結果、高値で耐え切れず損切し、その後しばらくして市場が落ち着き値が下がって泣きを見るパターンにはまり込んで居るのではないか。
もう少し我慢すればいいのではないか。そんな思いが判断を遅らせます。
市場は常に上昇と下降の可能性を持っていて、市場心理分析もテクニカル分析も絶対のものではなく専門家でも意見が分かれるものです。
運用中の感情に自覚なく振り回されている状態で的確な運用を行うのは本当に難しいものです。
大損しないために、繰り返さないために
運用中、それも損切が必要になる場面での自分の判断力、感情を信用してはいけませんでした。
「損失を確定させること、と考えてしまうこと」そのものが大損のもとです。
資金の準備や運用設定の段階で何か間違えているのでなければ、事前に決めた運用法を自ら破っている。
その源となるのは自身の感情です。
事前に決めて、ラインはずらさない
失敗しないコツ
自身の感情への数少ない対策が、
事前に全て決めておいて、その通りに淡々と運用する事です。
運用設定を損切位置まで含めて一つに固めておくのです。
例えば当初予想していた変動額を超えたら、あるいは運用を停止したら。
もしくは含み損が一定の(運用資金のn%)に達したら。「どれか一つ」の損切ラインを決めておくべきでした。
のんきかめの場合なら、研究する通貨ペアを変えたのだから運用を停止した段階で損切も行うべきだったでしょう。
損切そのものを避けたいのであれば、無暗にロットを増やすのは避け、資金を多めに用意し、数量は少なく、最大ポジションは多く取りましょう。
つまり想定するレンジを大きめにすることです。
複数プランは安心感を得られるとしても判断のブレを招きます。
いざその時が来ると「まあ損切するのは次のラインでいいか」と先延ばしのいい口実になってしまいます。
ずるずる運用したその先に待つのは拡大する損失とロスカット、退場です。
まとめ:もしもループイフダンで大損しそうなことに気づいたら
こまめに運用状況を見直し、事前に決めたものとかけ離れていたら、あるいは運用設定そのものが市場にそぐわないものだと判断したら
なるべく早く設定を見直し必要なら躊躇わず損切を行うことです。
損をするのが嫌という気持ち、まだどうにかなるのではないかという見込みは損失の拡大から退場へと続いています。
2022年7月にスイスフラン/円を約143円で損切り。
2024年4月現在スイスフラン/円約170円。
損切り出来ていなければ今頃は退場でしたね。
損切で一時的に嫌な気持ちになったとしても、損失の拡大する時に味わうストレスや退場に比べればささやかなことです。
しばらく気持ちを落ち着けることに集中して、切り替えましょう。